2010年ごろ、予はパーク24(4666)という会社を投資候補として見ていました。
きっかけは非常に単純です。
当時、日常の中でタイムズのカーシェアを目にする機会がありました。
予はそれを見て、
「これは合理的な商売ではないか」
と思ったのです。
電車で通勤して、車を使うのは休日くらい。
そのためだけに車を所有すれば、
車両代、駐車場代、車検、税金、保険、整備費。
乗っていない時間にも金がかかります。
それなら必要な時だけ車を借りればよい。
今では珍しくない考え方ですが、2010年当時の予には、カーシェアという仕組みそのものがかなり新鮮に映りました。
2010年のパーク24株は800~1000円前後だった
実際に2010年の株価を振り返ると、
年初値:999円
年間高値:1,068円
年間安値:756円
年末終値:869円
でした。
翌2011年も年間安値695円、高値1,040円、年末1,022円です。
そして2026年9月1日の終値は2,076円。
単純比較なら、2010年末869円から約2.4倍になっています。
では予は2010年に買ったのか。
買っていません。
良いと思った株を全部買えるわけではない
買わなかった最大の理由は、もっと単純です。
ほかの株を買ったからです。
投資資金には限りがあります。
面白そうな会社を10社見つけても、10社すべてを買えるとは限りません。
当時の予にはカーシェアの将来性が面白く見えました。
一方で、利用料金は決して安く感じませんでしたし、まだ広く社会へ浸透する商売なのかも分からなかった。
そして最終的には、限られた資金を別の銘柄へ振り向けました。
今になってパーク24が上がったからといって、
「あの時買っておけばよかった」
と考える必要はないと思っています。
当時選んだ別の株も、その後上昇しました。
すべての良い波には乗れません。
これは投資を長く続けていると、嫌でも分かってくることです。
では十数年経った現在、パーク24はどんな会社になったのか。
ちょうど2026年8月31日に第3四半期決算が発表されたので、あらためて見てみます。
2026年3Qは売上より利益の伸びが目立つ
2026年10月期第3四半期累計は、
売上高:3,040億円 前年同期比2.7%増
営業利益:289億円 同16.2%増
経常利益:267億円 同20.0%増
純利益:364億円 同265.1%増
となりました。
予がまず見るのは、純利益3.6倍という派手な数字ではありません。
純利益の急増には、英国事業再編などに伴う税効果が大きく影響しています。
それより面白いのは、
売上高は2.7%しか増えていないのに、営業利益は16.2%、経常利益は20.0%伸びている
ことです。
つまり、単に事業規模が膨らんでいるだけではなく、利益の出し方が改善している。
ここは素直に評価したいところです。
2010年に見たカーシェアは、今や会社の柱になった
予が2010年ごろに面白いと思っていたカーシェアは、現在「モビリティ事業」という大きな事業になっています。
パーク24のモビリティ事業とは、タイムズカーなどを中心としたカーシェア・レンタカー事業です。
会社の中期計画でも、モビリティ事業は利益成長を牽引する事業として位置づけられています。
2026年10月期計画では、
売上高1,488億円、事業利益184億円
を見込んでいます。
さらに2026年8月には、タイムズカーの会員数が400万人を突破しました。
2010年に予が見ていたのは、
「自分で車を持たなくても、必要な時だけ借りればよいのではないか」
という単純な仕組みでした。
十数年後、それが数百万人規模のサービスになっている。
ここはなかなか面白いものがあります。
駐車場の会社から「移動の会社」へ
パーク24という名前からは、どうしても時間貸し駐車場の会社という印象を持ちます。
しかし現在は少し違います。
駐車場がある。
そこに車がある。
会員がスマートフォンなどから車を予約する。
必要な時だけ乗る。
そして戻す。
つまり会社が押さえているのは、
「駐車する場所」だけではなく「人が移動する仕組み」
です。
予が2010年に感じたカーシェアの魅力も、突き詰めればここだったのでしょう。
人は車そのものが欲しいのではない。
目的地へ移動したい。
ならば「所有」という形を取る必要はない人もいる。
水が器に合わせて姿を変えるように、人間の移動手段も時代によって形を変えます。
一方で、成長には金もかかる
今回の決算を見て、
「全部良い」
で終わるつもりもありません。
カーシェア事業は車両を増やさなければなりません。
パーク24自身も2026年度について、単純に増車を続けるのではなく、増車ペースを緩めながら会員獲得や1台あたりの収益改善を進める方針を示しています。
これは逆に言えば、
車を増やせば自動的に儲かる商売ではない
ということでもあります。
車両は買えば終わりではありません。
減価償却もある。
整備もある。
事故もある。
利用率が悪ければ、車はただ置かれている資産になります。
だから今後は、
「会員数が何人増えたか」
だけではなく、
1台の車からどれだけ利益を生み出せるか
を見る必要があります。
会社もそこを課題として認識しています。
海外事業は縮めて利益を残す方向へ
海外事業も興味深いところです。
パーク24は海外駐車場事業の再編を進めています。
会社の中期計画では、モビリティ事業と海外事業を今後の利益成長を牽引する分野として位置づけています。
今回の決算では英国事業再編の影響が純利益にも大きく出ました。
ここは単純に、
「海外売上が大きければよい」
という話ではありません。
余分な荷物を降ろして利益を残せる会社へ変われるか。
その方が予には重要に見えます。
易経に問うてみた
さて。
せっかくなので、今回も易に問うてみました。
出た卦は、
地水師(ちすいし)
そして第四爻が変じ、
雷水解(らいすいかい)
となりました。
「師」は軍勢を表します。
兵がいるだけでは軍にはなりません。
人を集め、配置し、統率し、一つの目的へ向かわせる。
予には、今のパーク24が少しこの「師」に重なって見えます。
駐車場。
カーシェア車両。
会員。
アプリ。
決済。
それぞれ単独ならただの点です。
それらを全国に配置し、一つの移動網として組織する。
点を集めて陣を作る。
パーク24の強さは、そこにあるのかもしれません。
そして変爻となった第四爻には、
「師左次、无咎」
という言葉があります。
無理に進撃せず、いったん陣を移して整えるなら咎なし。
予は今回、これをかなり面白く感じました。
パーク24は今、ただ台数を増やすことだけを目指しているわけではありません。
カーシェアの増車ペースを調整し、1台あたりの収益改善へ軸足を移そうとしています。
海外でも事業再編を進めています。
前へ前へと兵を出すのではなく、
一度陣形を整える。
偶然とはいえ、会社の現状に妙に重なる卦です。
そして之卦は「解」。
解く。
ほどく。
困難から解放される。
重荷を降ろす。
海外事業の再編や収益構造の改善まで考えると、これまた興味深い。
もちろん易が会社の未来を保証してくれるわけではありません。
当たるも八卦、当たらぬも八卦。
それでも、企業を見るための別の角度として楽しむには、なかなか面白い卦が出ました。
十数年経った今、もう一度見るパーク24
2010年。
パーク24の株価は年間756円から1,068円の範囲で動いていました。
予はその頃、カーシェアという新しい仕組みを見て、
「これは伸びるのではないか」
と考えました。
しかし株は買わなかった。
ほかの波を選んだからです。
そして2026年。
株価は2,000円前後。
カーシェア会員は400万人を超え、モビリティ事業は会社を支える大きな柱へ育ちました。
今回の3Q決算も、売上高2.7%増に対して営業利益16.2%増、経常利益20.0%増。
少なくとも、利益面では悪くない流れです。
もちろん、この先も成長が続くかは分かりません。
カーシェアには車両投資が必要です。
利用率も重要です。
海外再編が本当に実を結ぶかも、これからです。
それでも――
十数年前に予が面白いと思った商売が、ここまで大きくなった。
そして今の決算をあらためて眺めても、まだ先を見てみたくなる部分がある。
十年以上経った今でも、パーク24はなかなか妙味のある株と言えんこともないかのう。
ふぉっふぉっふぉっふぉっ。
※本ブログにおける易経の解釈は、投資を考えるための思想的・娯楽的な試みです。将来の株価を保証するものではありません。
※本記事は企業分析および筆者個人の経験・考え方をまとめたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。
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