パーク24グループのカーシェアサービス「タイムズカー」で、大規模な個人情報漏えいが発生しました。
2026年9月25日にタイムズカーWebシステムへの不正アクセスが検知され、その後の調査で約660万アカウント分の情報が第三者に取得されたことが確認されています。さらに、そのうち約160万アカウントでは、運転免許証画像などの本人確認書類まで漏えいしていたことが明らかになりました。
件数の大きさだけでもかなりのものですが、今回やや分かりにくいのが「昔使っていた人も対象なのか」「タイムズパーキングやレンタカーだけを使った人はどうなのか」「メールが来ていなければ安心していいのか」という部分です。
さらに10月に入ると、被害者による集団訴訟の動きまで急速に拡大しています。今回は、現時点で分かっている情報を一度整理してみます。
約660万アカウントの情報が漏えい
パーク24の発表によると、2026年9月25日9時07分、タイムズカーWebシステムへの外部からの不正アクセスを検知しました。翌26日7時25分までには、不正アクセス経路と攻撃元からの通信を遮断し、その後、新たな不正アクセスは確認されていないとしています。
その後の調査で、第三者に取得されたことが確認されたアカウントは約660万件に上りました。
漏えいした情報は対象者によって異なりますが、公式発表では次のような情報が挙げられています。
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- 電話番号
- メールアドレス
- 運転免許情報
- 本人確認書類情報
- パスワード
- 連携サービスID
- 法人会員の場合は所属部署名
パスワードについては復元できない形式で保存されていたとされ、クレジットカード情報については漏えいしていないことが確認されています。
また、現時点では今回漏えいした情報が不特定多数に公開された事実や、今回の事件に起因する個人情報の不正利用も確認されていないと会社側は説明しています。
約160万件では免許証画像なども漏えい
さらに9月29日、パーク24は本人確認書類について追加発表を行いました。
運転免許証画像などの本人確認書類が漏えいしたアカウントは約160万件。
確認されている本人確認書類は、運転免許証画像だけではありません。
- 運転免許証画像
- 現住所確認書類の画像
- 学生証画像
- 家族確認書類画像
といったものが含まれます。
氏名やメールアドレスの漏えいだけでも気持ちのよい話ではありませんが、運転免許証などの本人確認書類は簡単に変更できる情報ではありません。この約160万件が、今回の事件をかなり大きなものにしている部分でしょう。
昔退会した人も対象になる
今回注意したいのが、「もう会員ではないから関係ない」とは限らない点です。
公式発表で対象とされているのは、現在のタイムズカー会員だけではありません。
- 現在のタイムズカー会員
- 退会済みのタイムズカー会員
- 入会を申し込んだものの、何らかの理由で入会完了しなかった人
- タイムズビジネスサービスの現在の会員
- タイムズビジネスサービスの退会済み会員
つまり、「昔登録したような気がするが、実際に使ったか覚えていない」という人まで対象になる可能性があります。
特に気になるのが、入会未完了者まで対象に含まれていることです。会員としてサービスを利用した記憶がない人でも、過去に申込フォームへ情報を入力していれば無関係とは言い切れません。
タイムズパーキングだけ使った人は対象なのか?
パーク24というと、黄色い看板の「タイムズパーキング」を思い浮かべる人も多いでしょう。
今回不正アクセスを受けたと公表されているのはタイムズカーWebシステムです。
公式発表で漏えい対象として明示されているのは、タイムズカー会員等とタイムズビジネスサービス会員等です。
そのため、単にタイムズパーキングへ車を停め、精算機で料金を払っただけの人が今回の約660万件に含まれる、という発表にはなっていません。
一方で、パーク24には複数のサービスがあります。
「タイムズクラブ」は、タイムズパーキング、タイムズカー、タイムズカーレンタルなどで利用できる共通の会員サービスです。また法人向けのタイムズビジネスサービスは、1枚のカードで駐車場、カーシェア、レンタカーを利用できる仕組みになっています。
そのため、「駐車場を使ったことがある」というだけでは判断できず、過去にどの会員サービスへ登録したかがポイントになります。
タイムズカーレンタルだけ使った人は?
レンタカーについても同じです。
タイムズカーレンタルはパーク24グループのサービスですが、レンタカーを一度利用した人全員が今回の漏えい対象だとする公式発表はありません。
一方、タイムズクラブやタイムズビジネスサービスなどを通じて、カーシェア、レンタカー、駐車場のサービスがつながっている部分があります。
昔レンタカーを使った際に同時に会員登録した、法人カードを作った、カーシェアの申込みも行った、といった記憶がある場合には、一度確認しておく意味はありそうです。
「メールが来ていない=漏えいしていない」と考えていいのか
ここは少し注意が必要です。
9月29日の発表では、本人確認書類の漏えいが確認された約160万アカウントについて、同日からメールによる個別案内を開始したとしています。
さらに約660万件全体についても、会社は対象者へ順次個別に案内するとしています。
つまり、本人確認書類について通知メールが届いていないことは一つの判断材料にはなりますが、「メールがないから100%対象外」とまでは現時点では言い切れません。
会社側も、個々の会員について具体的にどの情報が漏えいしたかについては、外部専門機関による調査結果を踏まえて改めて案内するとしています。
迷惑メールフォルダへ入っている可能性や、昔登録したメールアドレスを現在使っていない可能性もあります。
昔タイムズカーへ登録した記憶がある人は、「メールが来ていないから終わり」と考えるより、公式発表をもう少し追っておいた方がよさそうです。
集団訴訟はすでに参加希望3万人超
今回の事件では、被害者による集団訴訟の動きも始まっています。
牧野法律事務所が専用サイトを開設し、損害賠償請求を検討する人を募集しています。
10月1日時点では約3,000人弱だった参加希望登録者は、その後急増し、10月4日時点で3万人を超えたと報じられています。
かなり大きな人数ですが、現時点で注意したいのは、これはまだ正式な原告数ではないということです。
専用サイトへの登録は、あくまで「参加意思の表明」です。
今後、費用や委任条件などの案内を受け、委任書類を提出した段階で弁護士との正式な契約となります。法律事務所側も、会社の情報管理状況などを確認した上で、実際に提訴するかを判断するとしています。
つまり2026年10月5日現在は、集団訴訟がすでに判決へ向かって進行している段階ではなく、大規模な原告候補が集まっている段階と見るのが正確でしょう。
参加すると、いくら賠償を受けられるのか?
ここが最も気になる人も多いと思います。
現時点では、今回のタイムズカー事件について「参加すれば○万円もらえる」といった金額は決まっていません。
法律事務所側も、1人あたりの想定認容額については検討中としています。費用についても後日案内するとされており、現在は未確定です。
参考になるのが、過去の個人情報漏えい事件です。
| 過去の事例 | 裁判で認められた金額の例 |
|---|---|
| 通信教育会社の顧客情報漏えい | 1人あたり2,000~3,000円程度の判断例 |
| インターネット接続サービスの顧客情報漏えい | 5,000円+弁護士費用相当額など |
| 住民基本台帳データの漏えい | 1万円+弁護士費用相当額など |
| 身体的特徴などを含む顧客情報漏えい | 3万円+弁護士費用相当額など |
例えばベネッセの情報漏えい事件では、裁判によって1人あたり2,000円や3,000円程度の慰謝料を認めた例があります。
またYahoo! BBの顧客情報漏えい事件では、裁判所が1人あたり6,000円の支払いを命じた例もあります。
こうして見ると、日本の個人情報漏えい訴訟では、実際の金銭的被害が確認されていない場合、認められる慰謝料がかなり小額にとどまる例も多いことが分かります。
今回も数千円程度で終わるのか?
そこはまだ分かりません。
今回のタイムズカー事件では、約160万件で運転免許証画像など本人確認書類そのものが漏えいしています。
集団訴訟を呼び掛けている弁護士も、免許証番号や本人確認書類画像のように保護の必要性が高い情報が漏えいしたことは、損害額を考える上で大きな要素になるとの見方を示しています。
氏名と住所だけが漏れた事件と、運転免許証画像そのものが漏れた事件では、同じ基準になるとは限りません。
一方で、実際に裁判所がいくら認めるかは別問題です。過去の裁判例から単純に「今回は数万円になる」と計算することもできません。
さらに弁護士費用なども未定なので、最終的に参加者の手元へいくら残るのかも現時点では分かりません。
集団訴訟については、参加人数の大きさだけでなく、今後発表される請求額、費用体系、会社側の対応、実際の提訴内容を見ていく必要がありそうです。
パーク24の事業への影響はタイムズカーだけで終わるのか
今回不正アクセスを受けたのはタイムズカーWebシステムですが、パーク24はカーシェアだけの会社ではありません。
グループでは「タイムズパーキング」の時間貸駐車場を全国展開し、カーシェアのタイムズカー、タイムズカーレンタル、法人向け会員サービスなどを組み合わせています。
特にタイムズカーは、タイムズパーキングに車両を配置できることが大きな強みとなってきました。駐車場事業とモビリティ事業がかなり近いところでつながっています。
このため、今後見るべきなのは、情報漏えいの対象システムだけではありません。
- タイムズカーの会員数がどう動くか
- 新規会員登録に影響が出るか
- カーシェア利用回数が減少するか
- レンタカー利用にもブランドイメージの影響が出るか
- タイムズパーキングを含む「タイムズ」ブランド全体へ波及するか
- セキュリティ対策費用がどの程度増えるか
- 訴訟や補償による費用がどの程度発生するか
現在、パーク24は各種サービスを通常どおり継続しており、今回の事件によるサービス提供への影響は確認されていないとしています。
一方で、顧客の心理的な反応が実際の利用数字へ表れるには時間がかかる場合があります。
今回の事件がタイムズカーだけの問題として収まるのか、それともグループ全体のブランドへ少しずつ影響していくのか。その答えは今後の月次や決算数字に現れてくることになりそうです。
今回の事件で確認しておきたいこと
昔タイムズ関連サービスを利用した記憶がある人は、次の点を一度整理しておくと分かりやすいでしょう。
- タイムズカーへ登録したことがあるか
- 入会申込みだけして、途中でやめたことがないか
- 昔退会したタイムズカー会員ではないか
- タイムズビジネスサービスへ登録したことがないか
- 登録当時のメールアドレスを現在も確認できるか
- パーク24から個別通知が届いていないか
単に駐車場へ車を停めたことがあるだけなら、今回の公式発表上の対象者とは別です。
一方、昔カーシェアへ登録した記憶が曖昧な人や、入会申込みだけ行った可能性がある人については、もう少し続報を確認しておいた方がよいでしょう。
易に問う
最後に、玄庵易占で今回のパーク24を占ってみました。
本卦は「雷風恒(らいふうこう)」。
第三爻・第四爻が変じ、之卦は「地水師(ちすいし)」。
さて、会社も訴訟もどう進むか。
見ものじゃな。
ふぉっふぉっふぉっ。
※本記事は2026年10月5日時点で公表されているパーク24公式発表、報道、集団訴訟募集サイト、公開裁判例などをもとに整理しています。調査・訴訟はいずれも進行中のため、今後内容が変更される可能性があります。
※本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。
