双葉電子工業が一時798円へ 株価という「気」が動いた時こそ「理」を見る
8月18日、このブログで双葉電子工業(6986)について書きました。
その時、私は双葉電子を、
「復活待ち銘柄」
と表現しました。
財務は非常に強い。
長年積み上げてきた技術もある。
無線制御、サーボ、ドローン、FA、生産設備など、これからの時代につながりそうなものも持っている。
その一方で、本業では営業赤字が続いている。
そこで私は、
「悪い会社ではない。むしろ持っているものはかなり良い。しかし、その資産と技術をどう利益に変えるのかがまだ見えにくい会社」
と考えました。
そして記事を書いてから10日後の8月28日。
双葉電子工業の株価は前場、一時798円まで上昇しました。
かなり大きく動きました。
もちろん、ここで、
「ほら見たことか!」
と言いたいわけではありません。
株価の短期的な上下を当てるために、前回の記事を書いたわけでもありません。
むしろ今回の値動きは、このブログで以前から考えている朱子学の「理」と「気」を考える、なかなか面白い材料になったと思っています。
企業の「理」と株価の「気」
このブログでは、朱子学の「理」と「気」を株式投資にも当てはめて考えています。
簡単に言えば、
理=企業そのものが持っている本質や構造
気=株価、需給、市場心理、人気、恐怖、熱狂
です。
双葉電子について前回の記事で見ていたのは、主に「理」の部分です。
高い自己資本比率。
巨額の純資産。
現預金や投資有価証券。
無線制御技術。
ドローン。
サーボ。
FA・生産設備技術。
政策保有株式の縮減。
Brandes Investment Partnersによる継続的な保有。
そして第1四半期における営業赤字の縮小。
こうしたものは、8月28日に突然生まれたわけではありません。
以前から会社の中に存在していたものです。
それでも株価は毎日変わります。
企業そのものが一晩で別会社になったわけではないのに、ある日突然買われ始める。
反対に、企業そのものには大きな変化がないのに、突然売られることもある。
これが私の考える、
「理は簡単には変わらない。しかし気は激しく動く」
という株式市場の面白さです。
株価が上がったから正しかった、ではない
ここは大切です。
双葉電子の株価が一時798円まで上昇したからといって、前回の記事で考えたことがすべて正しかったことにはなりません。
私は前回、
「これから何で大きく稼ぐ会社になるのかが、まだ分かりにくい」
とも書きました。
この疑問は、株価が上昇したからといって消えません。
営業黒字化できるのか。
持っている技術をどう収益化するのか。
ドローン、FA、無線制御などを成長事業として伸ばせるのか。
豊富な資産をどう効率的に使うのか。
見るべきものは、まだたくさんあります。
株価という「気」が動いた。
だからこそ、もう一度「理」を見る。
私はそのくらいでよいと思っています。
予言するより、そこにあるものを見る
投資をしていると、
「あの株は上がる」
「この株は下がる」
という未来予測に意識が向きがちです。
しかし未来は分かりません。
私にも分かりません。
それより、
今、この会社には何があるのか。
何が足りないのか。
市場は何を評価していないのか。
そこを見る方が、私は好きです。
未来を当てようとするのではなく、今そこにある「理」を見る。
その後、株価という「気」がどう動くのかを眺める。
今回の双葉電子は、その一つの例として面白い動きを見せてくれました。
私は昔から「水」というものが好きです
少し話が変わります。
私は昔から、水というものについてよく考えます。
水は不思議なものです。
普段は柔らかい。
手ですくえば指の間から流れていく。
器を変えれば、その器に合わせて形を変える。
冷えれば氷になり、熱せられれば蒸気になり、やがてまた雨となって地上へ戻ってくる。
池も水。
川も水。
海も水。
そして人間を含め、生命は水なしでは生きられません。
古代の大きな文明が河川の周辺で育ったことを考えても、人間と水は切り離せない存在なのでしょう。
ところが、水は優しいだけではありません。
流れが強くなれば岩を削ります。
勢いをつければ物を切ることさえできます。
穏やかな川も、ひとたび増水すれば人間の力では止められないほどの力を持ちます。
水は優しく、同時に恐ろしい。
私は、この性質が相場にも少し似ているように思うのです。
波とは戦わない
昔から株をやっていて、私は相場とサーフィンは似ているなと思うことがあります。
サーファーは波と戦いません。
巨大な波を自分の力で止めようとする人はいないでしょう。
波の方向を見る。
強さを見る。
来るタイミングを見る。
そして、自分が乗れると思った波に乗る。
すべての良い波に乗ることなどできません。
株も同じです。
世の中には良い会社がたくさんあります。
欲しい株を全部買うこともできません。
では、どの波に乗るのか。
どの波を見送るのか。
そして、いつ波から降りるのか。
そこに投資家自身の考え方が表れるのではないでしょうか。
買った銘柄は、ある意味で自分自身を映しています。
欲。
恐怖。
焦り。
忍耐。
見栄。
自信。
迷い。
相場という水面を見ているつもりで、実はそこに映っている自分自身を見ている。
そんなこともあるのかもしれません。
子曰く、相場は水物といひたり
もちろん孔子が株式市場についてこんなことを言ったわけではありません。
これは、このブログで勝手に作った言葉です。
しかし昔から「相場は水物」と言います。
流れは変わる。
形も変わる。
昨日まで穏やかだったものが、突然大きく動く。
ならば無理に流れと戦うより、まず流れを眺めてみる。
そして流れの表面だけではなく、その下にある「理」を見る。
今回の双葉電子工業も、株価が一時798円まで上昇しました。
気は動きました。
では、理はどうなるのか。
本当に双葉電子の眠っている資産と技術は目を覚ますのか。
私は引き続き、その先を眺めてみたいと思います。
せっかくなので、この文章を世に出すべきか易に問うてみました
出た卦は「艮為山」、変じて「風山漸」。
「騒がず、言葉を慎み、徐々に進め」と読めます。
ここまで書いてきて、ひとつ思いました。
朱子学だ、理だ、気だ。
水だ、波だ、相場は水物だ。
こんなことを延々と語る人間にも、そろそろ呼び名くらいあってもよいでしょう。
そうか。
ならば以後、私――
いな。
予は「マスターJ」と名乗るとしよう。
ふぉっふぉっふぉっふぉっ。
※本ブログで使用する「子曰く」等の表現は、投資哲学を表現するための創作箴言を含みます。孔子その他の古典に実在する言葉を引用する場合は、その旨を区別して記載します。
※本記事は企業分析および筆者個人の投資に対する考え方をまとめたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は最新の決算資料・IR等をご確認のうえ、ご自身の判断で行ってください。

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