2026年8月28日金曜日

ティアフォー(593A)がストップ高 中国ロボット100m8.64秒から考える「自動運転の理と気」


2026年8月28日、自動運転関連株が大きく動きました。

中でも目立ったのが、ティアフォー(593A)です。

前営業日比400円高の1,999円。

ストップ高となりました。

きっかけの一つとみられているのが、トヨタ自動車が2028年に、市街地などで手放し運転ができる「レベル2++」の自動運転システムを搭載した乗用車を投入するとの報道です。

ティアフォーは、自動運転システムの量産開発においてトヨタ、いすゞ、スズキなどと関係を持つ会社です。

当然、市場の視線が集まりました。

では、この株価上昇をどう見るか。

今回は朱子学でいう、

「理」と「気」

から考えてみます。

まずティアフォーとは何者なのか

ティアフォーの中心にあるのが、

Autoware(オートウェア)

です。

自動運転用のオープンソースソフトウェアとして世界的に展開されており、ティアフォーはこれを軸に自動運転システムの開発、社会実装、開発支援などを進めています。

事業を見ると、大きく、

  • 自動運転サービスの社会実装支援

  • 自動運転システムの開発支援

  • ソフトウェア・ハードウェアなどのソリューション提供

といった領域があります。

さらに2026年には、AIを使ったレベル4自動運転向けソフトウェアスタックを公開。

NVIDIAとの連携も進めています。

自動運転レベル4向けの量産車載カメラも展開しています。

つまり単に、

「自動運転を研究しています」

という会社ではありません。

ソフトウェア、AI、クラウド、カメラ、開発環境、実証、量産化。

かなり広い範囲に手を伸ばしています。

ここは面白いところです。

しかし決算を見ると猛烈な赤字

一方で、株を見る以上、夢だけを見ているわけにはいきません。

2026年9月期第3四半期累計では、

売上高:約52億円

営業損失:約68億円

となっています。

さらに研究開発費を含む販売費及び一般管理費は約88億円。

通期会社予想でも、

売上高:約85億円

営業損失:約112億円

です。

なかなか壮絶な数字です。

もっとも、先端技術を開発している企業が、商用化より先に巨額の研究開発費を投入すること自体は珍しくありません。

問題は、

その研究開発が将来、本当に利益へ変わるのか。

ここでしょう。

朱子学的に言えば、技術という「理」が存在していたとしても、それが事業として結実するところまで来なければ、株主にとっての価値にはなりません。

それでも自動運転という流れは無視できない

ここで少し日本から離れてみます。

Teslaは現在、「Full Self-Driving(Supervised)」を展開しています。

名前だけを見ると完全自動運転のようですが、現在の仕組みは運転者による監視を必要とし、Tesla自身も完全な自動運転ではないと説明しています。

中国ではBYDが、

God's Eye(天神之眼)

と呼ばれる運転支援システムを広い価格帯へ展開しています。

一部では1万ドルを下回る価格帯の車にも高度な運転支援機能を入れ、自動運転技術を一部の高級車だけのものではなく、大衆車へ広げようとしています。

Teslaだけではありません。

BYD。

中国勢。

日本勢。

そしてティアフォーのような自動運転ソフトウェア企業。

世界中が同じ方向へ資金と技術を投入しています。

これは一企業の流行というより、

自動車そのものの形が変わろうとしている

と見た方がよいのかもしれません。

中国ではロボットが100mを8.64秒で走った

そして数日前、非常に面白いニュースがありました。

中国・北京で開催された世界人形机器人运动会で、ヒューマノイドロボット「Tiangong Ultra」が100メートルを、

8.64秒

で走りました。

人間の100メートル世界記録9.58秒を、数字の上では上回っています。

2025年には21.50秒だったロボットが、わずか一年ほどで8秒台まで来ました。




「2026世界人形机器人运动会:“百米飞人”大战决赛(再破纪录)」】

これは映像で見た方が早いでしょう。

すごい時代になったものです。

もっとも、このロボットは速く走れる一方、走り終えた後には壁へ衝突する場面もありました。

ここに非常に興味深いものがあります。

速く走る能力と、安全に目的地へ到達する能力は同じではない。

これは自動運転にもそのまま当てはまります。

速さは「気」、社会実装は「理」

100メートル8.64秒。

ストップ高1,999円。

どちらも非常に分かりやすい数字です。

人間はこういうものに心を動かされます。

これを予は、

「気」

と見ます。

目に見えて動くもの。

人々を興奮させるもの。

ニュースになるもの。

資金を呼び込むもの。

しかし、ティアフォーを見る時に本当に重要なのは、その下にある「理」でしょう。

安全に自動運転できるのか。

大量の車へ搭載できるのか。

自動車メーカーが採用するのか。

規制を越えられるのか。

事故が起きた時の責任をどう設計するのか。

そして最終的には、

利益を出せるのか。

ロボットが8.64秒で走ったから、明日から人間の代わりになるわけではありません。

ティアフォーの株価がストップ高になったから、明日から営業利益が黒字になるわけでもありません。

気は速い。

理は遅い。

この時間差こそ、株式市場の面白さなのかもしれません。

自動運転という大河

予は昔から、相場を水に似たものだと考えています。

水は一滴から始まります。

やがて小さな流れとなり、支流が集まり、川となる。

さらに多くの水が集まれば、大河となります。

自動運転という技術も、今その途中にあるように見えます。

Teslaが流れる。

BYDが流れる。

トヨタが流れる。

中国のAIとロボット技術が流れる。

NVIDIAが流れる。

そしてティアフォーも、その流れの中にいる。

問題は、

どの支流が最後まで残るのか。

です。

すべての会社が勝つことはありません。

巨大な流れが生まれても、その途中では無数の企業が消えていきます。

逆に、現在は赤字だらけの小さな会社が、十年後には巨大企業になっていることもあります。

未来など誰にも分かりません。

ティアフォーの「理」はまだ完成していない

予がティアフォーを見るなら、

「自動運転という巨大な流れに乗っている、非常に興味深い未完成企業」

くらいでしょうか。

技術はある。

パートナーもいる。

市場も巨大になり得る。

一方で赤字も巨大です。

したがって現時点で、

「絶対に将来有望である」

とも、

「赤字だから駄目である」

とも言い切る必要はないと思います。

まだ途中なのです。

易経とは、そもそも「変化」を見る思想でもあります。

完成したものを見るのではなく、

今、何が何へ変わろうとしているのか。

そこを見る。

ティアフォーもまた、そのような株なのかもしれません。

当たるも八卦、当たらぬも八卦

この先、自動運転市場がどうなるのか。

Teslaが勝つのか。

中国勢が勝つのか。

日本勢が巻き返すのか。

ティアフォーが巨大企業になるのか。

そんなことは予にも分かりません。

分からぬからこそ面白い。

当たるも八卦、当たらぬも八卦。

投資家ができることは、未来を断言することではありません。

今そこにある理を調べる。

流れている気を見る。

そして自分が乗る波を選ぶ。

それだけです。

すべての良い波に乗ることはできません。

だからこそ、

どの波に乗り、どの波を見送るか。

そこに投資家自身が表れるのでしょう。

子曰く

子曰く、速きもの必ずしも遠くへ至らず。

100メートルを8秒で走れても、壁にぶつかってしまっては目的地には着きません。

株価も同じです。

速く上がることと、良い企業になることは同じではない。

されど――。

8秒台で走るロボットを見て、

「未来など何も変わらない」

と言うのも、また違うのでしょう。

水はすでに流れ始めています。

さて、この大河はどこへ向かうのか。

予もしばらく眺めてみるとしましょう。

ふぉっふぉっふぉっふぉっ。

※本ブログの「子曰く」は投資哲学を表現した創作箴言です。孔子の実際の発言ではありません。

※本記事は企業分析および筆者個人の投資に対する考え方をまとめたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は最新の決算資料・IR等をご確認のうえ、ご自身の判断で行ってください。

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