2026年8月18日火曜日

10年で259インプレッションだったブログは、朱子学でどこまで伸びるのか

 


このブログには、誇れる数字があります。

過去10年間のGoogle検索インプレッション、259回。

……少ない。

あまりにも少ない。

10年です。

1年ではありません。

10年間で259回です。

ほとんど伏流水です。

地上からは存在すら確認できません。

そんなブログに、最近私は「朱子学的な考え方を取り入れたNISA」という、よく分からない記事を書きました。

すると、8インプレッションありました。

普通のブログなら誤差でしょう。

しかし、このブログにとっては事件です。

なにしろ10年間で259回しか表示されなかったのですから。

私はそこで思いました。

もしかして、この方向なのではないか。

投資について書いている人はいくらでもいます。

NISAについて書いている人もいくらでもいます。

朱子学について書いている人もいるでしょう。

しかし、

「朱子学の考え方をNISAへ持ち込んでみよう」

と考える人は、少なくともそれほど多くないらしい。

だったら、やってみようではありませんか。

これは壮大な社会実験です。

10年間で259インプレッションしか獲得できなかったブログが、朱子学という謎の武器を手に入れることで、一体どこまで成長するのか。

259が500になるのか。

1,000になるのか。

1万になるのか。

あるいは何事もなく再び地中深くへ沈んでいくのか。

私にも分かりません。

だから面白い。

成功してから成功談を書くのではなく、まだ何者でもない段階から記録しておこうと思います。

これから株式市場を見ながら、

「これは陰陽で説明できるのではないか」

「この銘柄は中庸なのではないか」

「暴落を耐える投資こそ亀の道ではないか」

などと、勝手に朱子学と投資を結びつけていきます。

正しいかどうかより、まず自分自身が面白いと思えることを続けてみたい。

そして、もしこのブログが本当に伸びていったなら。

その時はぜひ、

「259インプレッションの頃から見ていた」

と言ってください。

一緒にこの上昇を味わっていってもらえたら、とても嬉しいです。

まだこのブログは、長い坂を登り始めたばかりです。

日経平均が下がる日に武田薬品は上がる――朱子学っぽく考える「守りのNISA」


2026年8月18日、保有している武田薬品工業の株価を見て少し驚いた。

終値は5,702円。前日比+189円、率にして+3.43%の上昇である。

「何か武田にすごいニュースでも出たのか?」

そう思って調べてみたのだが、今日の急騰をそのまま説明できそうな大きな個別材料は、少なくとも私が調べた範囲では見当たらなかった。

そこで日経平均を見て、なんとなく納得した。

今日はむしろ日本株全体が弱いのである。

原油価格の上昇やインフレ、金利への警戒などから、日本株には売りが出ていた。

そこで思い出した。

武田薬品って、こういうことがある。

日経平均が元気な日は大して動かないのに、日経平均が大きく下がっている日に妙に強かったりする。

医薬品は景気が悪くなったからといって、みんなが薬を飲まなくなる業種ではない。

いわゆる「ディフェンシブ銘柄」である。

そしてこの値動きを見ていたら、以前から考えている「朱子学的NISA」と妙につながって見えた。

白の中には黒があり、黒の中には白がある

中国思想を象徴するものの一つに、太極図がある。

白と黒が渦を巻いた、あの有名な陰陽のマークだ。

白一色でもなければ、黒一色でもない。

陽の中には陰があり、陰の中には陽がある。

私は若い頃、漢文の先生から中国思想について教わった時、この考え方に非常に感銘を受けた。

世の中は水戸黄門のように、

「こちらが善人、こちらが悪人」

と綺麗に二つに分かれているわけではない。

どんな善人にも悪い部分がある。

悪人と呼ばれる人間にも、善い部分がある。

物事はそんな単純ではない。

これは今でも私の人生観の根底にある。

そして株式市場も、案外同じなのではないか。

日経平均の「陰」が武田薬品の「陽」を生む

株を始めたばかりだと、

「日経平均が上がる=良いこと」

「日経平均が下がる=悪いこと」

と考えやすい。

けれど、自分でいろいろな銘柄を持っていると、そんなに単純ではないことに気づく。

市場全体が上がっている時には、半導体や景気敏感株などに資金が向かい、ディフェンシブ株は置いていかれることがある。

反対に、市場が不安定になると、それまで地味だった医薬品などへ資金が向かうことがある。

今日の武田薬品の値動きも、その一例として見ると面白い。

市場全体にとっての陰が、ある銘柄にとっては陽になる。

陰だから悪いのではない。

陽だから良いのでもない。

むしろ陰と陽が存在するから、全体として均衡が取れる。

私は「攻撃は最大の防御」とは思わない

若い頃の私は、ゲームでも何でも攻撃力全振りみたいなものが好きだった。

「攻撃は最大の防御」

という考え方である。

今はむしろ逆だ。

鉄壁の守りこそ最強なのではないか。

どれだけ攻撃力が高くても、一撃食らって死んでしまったら終わりである。

相場でも同じだと思う。

一番上がる株を当て続ける必要はない。

好景気にも不景気にも耐えられる。

暴落が来ても生き残れる。

配当が入り続ける。

ある銘柄が下がった時には、違う性質を持った銘柄が支えてくれる。

そういうポートフォリオの方が私は好きだ。

だから私は亀が好きなのかもしれない

私は昔から亀が好きである。

亀は速くない。

獲物に飛びかかる牙もない。

派手な攻撃力もない。

でも、甲羅がある。

ものすごく地味だが、ひたすら生き残る。

これこそ私が今、投資に求めているものなのかもしれない。

明日の株価を当てる能力より、

何が起きても市場から退場しない能力。

大儲けするための攻撃力より、

暴落しても生活が壊れない防御力。

日経平均が絶好調の時には地味でもいい。

みんなが逃げ始めた時に、甲羅の中で平然としていられればいい。

今日、日経平均とは反対方向に大きく上がった武田薬品を見ながら、そんなことを考えた。

朱子学的NISAとは「最強銘柄探し」ではない

結局、私が考える朱子学的NISAは、

「この銘柄こそ絶対に正しい」

という投資ではないのだと思う。

景気敏感株にも役割がある。

ディフェンシブ株にも役割がある。

値上がり益にも意味がある。

配当にも意味がある。

好景気にも不景気にも、それぞれ違った顔がある。

一方だけを善として、もう一方を悪として切り捨てない。

異なる性質のものを抱えながら、全体として倒れない形を作る。

それが私には一番しっくりくる。

相場に勝とうとするのではない。
相場がどうなっても生き残る。

今日の武田薬品の逆行高は、そんな「亀の投資」を改めて考えさせてくれる値動きだった。

朱子学投資とは何か?「理」と「気」で株式市場を読むための備忘録

 


このブログでは、株式投資を少し変わった角度から考えています。

それが、

「朱子学で株式投資を読む」

という考え方です。

最初から完成された投資理論として始めたわけではありません。

半分は思考実験です。

企業を調べ、株価を見て、実際に売買しながら、

「朱子学の考え方って、意外と株式投資に使えるんじゃないか?」

と考えるようになりました。

私自身も朱子学を完全に理解しているわけではありません。

むしろ記事を書きながら調べ、

「なるほど、そういうことか」

と読者と同じタイミングで学んでいくスタイルです。

この記事は、今後その考え方を忘れないための備忘録として残しておきます。


株価という「気」と、企業に存在する「理」

朱子学には「理」と「気」という重要な考え方があります。

かなり乱暴に株式投資へ置き換えると、私はこう考えています。

企業や市場の奥に存在する構造。

例えば、

  • 企業が何によって利益を生んでいるか

  • 財務は健全か

  • 業界に長期需要があるか

  • 競争力はあるか

  • 経営陣が合理的な行動を取っているか

  • その商品やサービスが社会から必要とされているか

  • 産業全体として資金がどこへ向かうべきか

こういった、短期間では大きく変わりにくいものです。

これを私は投資における「理」と考えています。


一方の「気」は、もっと動きの激しいものです。

例えば、

  • 株価

  • 出来高

  • 投資家の欲

  • 恐怖

  • 熱狂

  • SNSの話題

  • ニュース

  • 短期的な資金流入

  • 利益確定売り

  • パニック売り

などです。

株価は毎日動きます。

しかし会社の競争力や財務が、一日で全く別物になることは普通ありません。

つまり市場では、

理は比較的ゆっくり動き、気は激しく揺れる

と考えることができます。


「気」に振り回されず「理」を見る

株をやっていると、どうしても株価ばかり見てしまいます。

昨日より50円上がった。

今日は100円下がった。

SNSでは強気の人が増えた。

悪材料が出た。

こうしたものは非常に目立ちます。

しかしそれは多くの場合、「気」の動きです。

重要なのは、

その企業の根本的な「理」まで変わったのか?

と考えることです。

例えば、良い会社の株価が短期的な需給だけで下がっているなら、「気」が乱れているだけかもしれません。

逆に、株価は猛烈に上昇しているのに企業価値がそれほど変わっていないなら、「気」だけが膨張している可能性があります。

この区別ができると、株価に少し振り回されにくくなります。


格物致知=企業を調べること

朱子学には「格物致知」という言葉があります。

物事を一つずつよく調べることで、その背後にある道理を知る。

株式投資との相性が非常にいい考え方だと思っています。

企業を調べる時も同じです。

決算を見る。

IRを見る。

商品を見る。

競合を見る。

市場を見る。

その企業が実際に何をやっているのかを確認する。

一つずつ「物」を調べていくと、

「この会社はなぜ儲かるのか」

あるいは、

「なぜこの会社は儲からないのか」

という構造が見えてきます。

PERやPBRだけを見るより、私はこの方が面白いと思っています。


例えばタウンズをどう見るか

感染症診断薬メーカーのタウンズを例にします。

数字だけを見ると、コロナ特需後の業績悪化が目立ちます。

しかし商品を見ると、

  • 検査時間を短縮

  • 有効期限を大幅延長

  • 在庫リスクを減らす

  • 卸が在庫を持ちやすくする

  • 急な流行時の販売機会を増やす

という商品改良を進めています。

これを見ると、

株価や直近利益という「気」は弱いが、企業が問題を解決しようとしている「理」はそれほど悪くない

という見方ができます。

これが、このブログでやりたい投資の読み方です。


双葉電子はどうか

双葉電子工業の場合は逆に少し難しい。

財務は強い。

技術もある。

資産もある。

ドローン、無線制御、FA、金型など、使えそうな手札もあります。

つまり「理」になり得る素材は豊富です。

しかし、

それを何によって利益へ変えるのか

がまだ明確ではありません。

構造改革という「守り」は進んでいる。

しかし「次に何で稼ぐのか」という理が、まだ十分見えない。

だから投資家として完全には信用しきれない。

こういう判断にも使えます。


株価が上がっているから「理」があるとは限らない

ここは重要です。

株価が上がっていると、その企業には何か素晴らしい理由があるように見えます。

しかし実際には、

  • 流行

  • テーマ

  • SNS

  • 短期資金

  • 踏み上げ

  • 投機

だけで上がる場合もあります。

つまり、

気が強いから理まで正しいとは限らない

ということです。

逆もあります。

株価が下がっているからといって、企業価値まで悪化しているとは限りません。

株式市場では、「気」の動きが「理」から大きく離れる場面があります。

私はそこを探すのが投資の面白さだと思っています。


居敬=浮かれないこと

朱子学には「居敬」という言葉があります。

これも投資に使えそうです。

かなり簡単に言えば、

自分の心を乱さず、姿勢を正して物事に向き合う

という感覚です。

株価が上がると人間は浮かれます。

下がると恐怖を感じます。

そして欲や恐怖が強くなると、判断を誤ります。

以前は600円で売ろうと思っていた株が700円になると、

「800円まで行くかもしれない」

と思います。

800円になると、

「1000円まで行くかもしれない」

と思う。

欲には終わりがありません。

だから投資では、

欲を完全になくすのではなく、欲に判断を乗っ取られない

ことが重要だと思っています。


知るだけではなく、実際に行動する

企業をどれだけ調べても、売買しなければ利益にはなりません。

逆に、考えずに売買だけするとギャンブルになりやすい。

だから、

知る → 判断する → 行動する → 結果を見る → また考える

という循環が必要です。

朱子学的に言えば、知識と実践を完全に切り離さないことが大切なのだと思います。

投資でも同じです。

決算を読んで終わりではない。

自分なら買うのか。

買わないのか。

持ち続けるのか。

売るのか。

そこで初めて、自分の考えが試されます。


市場一身論

ここから少し与太話になります。

私は株式市場そのものを、一つの巨大な生き物のように見ることがあります。

市場には常に資金が流れています。

資金は血液のようなものです。

銀行から半導体へ。

半導体から防衛へ。

防衛から高配当株へ。

ある業界へ資金が集中すれば、別のところから資金が抜けます。

市場全体を一つの身体として考えると、

各業界は臓器であり、企業はその細胞

のようにも見えます。

ある産業が異常に膨張すると、別の部分が弱る。

ショックが発生すると、市場全体が発熱する。

暴落すると資金が一気に安全資産へ逃げる。

この見方を、私は勝手に「市場一身論」と呼んでいます。


個人と市場と世界は入れ子になっている

さらに考えると、

個人の投資家がいて、

企業があり、

市場があり、

国家があり、

世界経済があります。

それぞれ別々に存在しているようで、完全に独立しているわけではありません。

個人の欲や恐怖が市場を作る。

市場の動きが企業を動かす。

企業活動が国家経済を作る。

国家政策が再び個人の投資判断へ戻ってくる。

入れ子のような構造になっています。

このあたりは、もはや株式投資というより哲学の話です。

でも投資を長くやっていると、こういうことを考えるようになります。


「勝つ」より「理から外れない」

株では勝ち負けが非常に分かりやすいです。

利益なら勝ち。

損失なら負け。

しかし一回の売買だけなら、偶然でも勝てます。

逆に、正しい判断をしても短期的には損することがあります。

そこで私は、

「一回勝ったかどうか」より、「理から大きく外れた判断をしていなかったか」

を見る方が重要だと思っています。

分からない株を勢いだけで買わない。

良い会社でも高すぎれば追わない。

悪材料が出ても企業の根本が変わっていなければ慌てない。

欲が出ていると感じたら一度考える。

こういう小さな判断を積み重ねて、市場から退場しない。

長く生き残る方が大事です。


私自身も読者と一緒に学ぶ

この「朱子学投資」は、完成された理論ではありません。

今後企業を調べるたびに、

「これは理と気で考えるとどうなる?」

「格物致知って、こういうことじゃないか?」

と少しずつ考えていきます。

そして面白いのは、

記事を書く前の私は、その結論をまだ知らない

ということです。

企業を調べ、朱子学の考え方と照らし合わせ、記事が完成する。

その瞬間に、

私も読者も初めてその考え方を読むことになります。

つまり著者自身も、記事という「観測」が行われるまで答えを知らない。

少し量子力学の思考実験みたいで面白い。

もちろん物理学として正しい話をしているわけではありません。

あくまで遊びです。

でもこのブログでは、

最初から答えを知っている先生が教えるのではなく、投資経験のある人間が読者と一緒に考えていく

というスタイルでやっていきたいと思っています。


まとめ|朱子学投資の基本ルール

今のところ、私の「朱子学投資」はこんな感じです。


企業価値、財務、競争力、需要、産業構造など、株価の奥にあるものを見る。


株価、出来高、熱狂、欲、恐怖など、短期的に激しく動くものを見る。

格物致知
IR、決算、商品、業界を実際に調べる。

居敬
値上がりで浮かれず、値下がりで恐慌状態にならない。

実践
考えたことを実際の売買判断につなげる。

市場一身論
市場全体を資金が循環する一つの巨大な生命体として考える。

そして一番大切なのは、

「自分は全部分かっている」と思わないこと。

企業を一つ調べるたびに、自分の考えも変わります。

このブログでは、その変化も含めて記録していきます。

数年後にこの記事を読み返して、

「昔の俺、こんなこと言ってたのか」

と笑っているかもしれません。

それもまた投資の面白さだと思っています。

※本記事の「朱子学投資」は、朱子学の学術的な解説を目的としたものではありません。古典思想の概念を株式投資へ自由に当てはめた、筆者個人の思考実験・投資哲学です。

キオクシア株には手を出すな?初心者が生き残りたいなら避けたい理由

 


今回は少し刺激的なタイトルにしました。

キオクシアホールディングス(285A)についてです。

最初に言っておくと、私はキオクシアが悪い会社だとは思っていません。

むしろ現在の業績は強く、AI向けデータセンター需要の拡大によってNANDフラッシュメモリ市場も非常に注目されています。

それでも私は、

株式投資を始めたばかりの人には、キオクシア株へ安易に手を出してほしくない

と思っています。

理由は単純です。

値動きが激しすぎるからです。


キオクシアは今、非常に強い会社

キオクシアはNANDフラッシュメモリの世界的大手です。

AIというとGPUやHBMが注目されがちですが、大量のデータを保存するためにはNANDやSSDも必要になります。

生成AIの普及によってデータセンター向けストレージ需要が拡大し、キオクシアの業績も大きく改善しています。

2026年には次世代BiCS Flashのサンプル出荷も開始するなど、技術開発も進んでいます。

つまり、

「業績が悪いから危険」

という銘柄ではありません。

むしろ逆です。

会社が非常に強いからこそ、多くの投資家が殺到しています。


それでも私は買わない

私はキオクシア株を買うつもりはありません。

株式投資では、

良い会社=買ってよい株

とは限らないからです。

会社が素晴らしくても、株価が激しく動けば投資家側が耐えられません。

キオクシアのチャートを見ると、短期間で猛烈に上昇したかと思えば、一気に暴落し、その後また急反発する場面があります。

こういう株は見ていると非常に魅力的です。

「下がったところで買えば儲かるのでは?」

「これだけ上がっているならまだ上がるのでは?」

と思います。

ここが危ないところです。


初心者が最も危険なのは「上がっている株」

投資初心者は、下がっている株より上がっている株に引き寄せられます。

毎日上昇している。

SNSでも話題になっている。

ニュースでも取り上げられる。

すると、

「こんなに上がっているなら自分も乗らなければ損だ」

と思い始めます。

しかし株価が急激に上昇しているということは、それだけ期待も株価へ織り込まれているということです。

そして期待が少しでも崩れると、売りも一気に出ます。

キオクシアでは実際に、短期間で非常に大きな下落が発生しています。


上がるか下がるかではなく「読めない」

ここが今回一番言いたいことです。

私は、

キオクシア株はこれから下がる

と言いたいわけではありません。

さらに上がる可能性も普通にあります。

AI需要が続けば、業績がさらに伸びる可能性もあります。

問題は、

私には短期的な値動きを読めない

ということです。

そして読めないものに無理に参加する必要はありません。


株で生き残るには「分からないものを買わない」

株式投資で重要なのは、一発で大金を稼ぐことではないと思っています。

最も重要なのは、

市場から退場しないこと

です。

例えば100万円を持っている人が50%損をすると50万円になります。

50万円を100万円へ戻すためには、今度は100%上昇させなければなりません。

大きな損失は、それだけ取り返すのが難しくなります。

だから私は、

利益を取り逃すことより、大きな損失を避けること

を重視しています。


「買わなかったら上がった」は損ではない

株をやっていると、これが非常に重要です。

自分が買わなかった株が2倍になった。

3倍になった。

10倍になった。

すると、

「買っておけばよかった」

と思います。

でも実際には一円も損していません。

利益を取り逃しただけです。

一方、買って暴落すれば、本当に資産が減ります。

この二つは全く違います。


キオクシアのような株は上級者向けだと思う

キオクシアは、

  • 半導体市況

  • NAND価格

  • AI投資

  • 世界的な設備投資

  • 為替

  • 競合メーカーの増産

  • 市場参加者の期待

など、非常に多くの要素で株価が動きます。

しかも現在は注目度が非常に高い。

こういう株は、短期間に莫大な利益を出せる可能性があります。

同時に、短期間で大きく資産を減らす可能性もあります。

自分で値動きを理解し、損切り基準を持ち、ポジションサイズを管理できる人なら面白いでしょう。

しかし、

「最近上がっているから買う」

という理由だけで初心者が入るのはおすすめしません。


私ならもっと簡単な株を探す

市場には何千もの銘柄があります。

わざわざ自分が理解できない株を買わなくてもいいのです。

例えば私は、

  • 配当がある

  • 本業で利益を出している

  • 財務が健全

  • 何で儲けている会社なのか理解できる

  • 長期的な需要が見込める

  • 株価が下がっても持つ理由がある

といった企業を好みます。

そういう株なら、一時的に株価が下がっても落ち着いて待てます。

キオクシアのように一日に大きく動く株を毎日見続ける必要もありません。


一番怖いのは「一度勝ってしまうこと」

こういう値動きの激しい株で一番怖いのは、最初に利益を出してしまうことかもしれません。

例えば50万円買って、数日で10万円儲かった。

すると、

「株って簡単じゃん」

と思います。

次は100万円。

その次は200万円。

そして一度大きな暴落を食らう。

これは株でよくある失敗パターンです。

最初の成功が、その後の大きな失敗につながることがあります。


株は儲けるゲームである前に生き残るゲーム

派手な銘柄を当てれば、SNSでは自慢できます。

しかし投資の最終目的はSNSで自慢することではありません。

資産を増やすことです。

そのためには、

勝てそうな時だけ参加する

くらいでいいと思っています。

分からない株は買わない。

難しい株も買わない。

自分が理解できる会社だけを買う。

これだけでもかなり事故を減らせます。


まとめ

キオクシアは悪い会社ではありません。

AI需要という強力な追い風もあります。

NANDフラッシュメモリの世界的大手であり、技術力もあります。

だから株価がさらに上昇する可能性も十分あります。

それでも私は買いません。

理由は、

自分にとって値動きが激しすぎて、リスクを読み切れないからです。

株式投資では、すべてのチャンスを取る必要はありません。

100回チャンスがあれば、そのうち自分が分かる10回だけ参加すればいい。

特に初心者は、

「いくら儲けられるか」より「どうすれば退場しないか」

を考えた方がいいと思います。

キオクシア株が今後10万円になったとしても、それはそれ。

自分が理解できない勝負を見送ったことを後悔する必要はありません。

市場は明日も開きます。

次のチャンスはいくらでもあります。

※本記事は特定銘柄の将来株価を予測するものではありません。また、キオクシア株の売却を推奨するものでもありません。筆者個人の投資方針・リスク管理についてまとめたものです。

10年持った東京電力株をついに全売却|昔の記事を読み返して分かった投資家としての成長

 


2026年、長年持ち続けていた東京電力ホールディングス(9501)の株をすべて売却しました。

売却したのは、株価が年初来高値となる760円前後まで上昇したタイミングです。

東京電力HDは2026年1月6日に年初来高値760円を付けました。

結果だけ見れば、かなり良いところで売ることができました。

しかしここまで来るのに、実に長い時間がかかっています。

東京電力株について自分の昔のブログを読み返していたら、2016年の記事が残っていました。

そこにはこんなことを書いていました。

上がったと思ったらすかさず下がるというのは、この株は信用がない株だという事だと思う。

配当もなく、少し調子よく上がると目先の利益を確保するためにみんな売ってしまう。

600円に行ったら売ろうと思っている。

500円には一度は確実に戻すと踏んでいる。

今読むと、なかなか面白いです。

当時の株価は400円台。

「600円まで戻れば売りたい」

と考えていました。

それから約10年。

東京電力株は何度も火を噴きました。

そして私は、そのたびに売る機会がありながら、結局長い間持ち続けることになりました。


東京電力株は何度も突然上がった

東京電力HDという株は、ずっと低迷しているだけの株ではありません。

原発再稼働期待、電力料金、エネルギー価格、政策、政治など、何か材料が出ると突然大きく上昇します。

長く持っていると、

「今度こそ本格的に上がるのでは?」

と思わせる瞬間が何度もあります。

これがこの株の怖いところでした。

2016年の記事では600円で売るつもりだった私も、その後実際に株価が上昇すると、だんだん欲が出てきます。


最大の痛恨は2024年

一番悔しかったのは2024年です。

東京電力HDは2024年4月に1,114.5円まで上昇しました。

1,100円を超えています。

当時私は、

「まだ上がるかもしれない」

と思って売りませんでした。

今振り返れば、これはかなり痛い判断でした。

その後株価はどんどん下落。

2025年2月には371.1円まで下がっています。

1,114.5円から371.1円。

高値から約3分の1です。

さすがにこれは痛かった。

「あの時売っておけば」

と何度思ったか分かりません。


それでも損切りせず持ち続けた

それでも私は東京電力株を売りませんでした。

今なら、

「なぜそんな株をずっと持っていたのか」

と思う人もいるでしょう。

理由はいくつかあります。

一つは、東京電力という会社自体が簡単になくなるとは考えていなかったこと。

もう一つは、東京電力株は何か材料があると突然大きく上昇することを、長年見て知っていたからです。

そして何より、

一度はまた500円、600円台まで戻る場面があるだろう

という感覚がありました。

2016年の記事にも、

「500円には一度は確実に戻す」

と書いています。

この考えだけは、10年経っても変わりませんでした。


2026年、ついに760円で全売却

そして2026年。

東京電力株は再び上昇しました。

1月6日には年初来高値760円。

そこで私は、持っていた東京電力株をすべて売却しました。

2024年に1,100円を超えた時と比べれば安いです。

それでも今回は、

「もっと上がるかもしれない」

という欲を抑えました。

ここが昔の自分との一番大きな違いだったと思います。


「もっと上がる」は危険な言葉

株をやっていると、

「もう少し上がるかもしれない」

という気持ちが必ず出ます。

500円になる。

600円になる。

700円になる。

すると、

「800円まで行くかもしれない」

と思う。

800円になれば、

「1,000円になるかもしれない」

と思う。

実際、東京電力株は2024年に1,100円を超えました。

それを一度経験すると、次も同じことが起きると思ってしまいます。

しかし株価は過去の高値に戻る義務などありません。

2024年の1,114.5円から翌年には371.1円まで落ちた事実が、それを嫌というほど教えてくれました。


配当のない株を長期保有する難しさ

2016年の記事を読み返して、自分でも驚いたことがあります。

当時すでに、

「配当がない株は信用されにくい」

と書いていました。

これは今でもかなり重要な考え方だと思っています。

配当株なら、株価が下がっても、

「配当をもらいながら待てばいい」

という理由があります。

しかし無配株は違います。

株価が上がらなければ、持っている意味がほとんどありません。

そのため少し上昇すると、

「今のうちに利益を確定しよう」

と考える人が増えます。

結果として売りが出やすくなります。

東京電力株を10年近く持って、私はこの違いをかなり強く実感しました。


昔の私は「株価」を見ていた

2016年の記事では、

「500円になる」

「600円になったら売る」

と株価そのものをかなり気にしています。

これは今読むと、若い投資判断だったと思います。

現在は少し考え方が変わりました。

見るのは、

  • 会社が利益を出しているか

  • 配当があるか

  • 財務はどうか

  • 業界の中で必要とされる会社か

  • 経営陣が具体的な手を打っているか

  • 株価上昇の理由に持続性があるか

といった部分です。

「この株は○○円になるはず」

という予想に執着することは以前よりかなり減りました。


一番大きく変わったのは「売れるようになったこと」

投資を始めた頃は、

買うことより売ることの方が難しい

とは思っていませんでした。

しかし実際には売る方が圧倒的に難しい。

含み損なら、

「戻るまで待とう」

と思います。

含み益なら、

「もっと上がるかもしれない」

と思います。

結局どちらでも売れません。

2024年の1,114.5円を逃したのも、この心理だったと思います。

今回760円で全部売れたのは、

「最高値を取らなくてもいい」

と思えるようになったからです。

後から800円、900円になっても仕方がない。

自分が十分だと思うところで利益を確定する。

この考え方を持てるようになったことが、私にとって一番大きな成長かもしれません。


売った後、株価は再び500円台へ

2026年8月現在、東京電力HDの株価は再び500円台です。

年初来高値760円から200円以上下がっています。

だから結果論ではありますが、今回の売却はかなり良い判断でした。

もちろん760円が今後永久に超えられないとは思っていません。

東京電力株は、これまでも何度も突然上昇してきた株です。

また原発や政策の材料で火を噴くことはあるでしょう。

それでも私は、もう買い戻す予定はありません。


東京電力株から卒業する

長い間持っていた株を全部売ると、少し不思議な気分になります。

東京電力株にはかなり振り回されました。

400円。

500円。

600円。

そして1,100円。

そこから300円台。

また760円。

本当に上下の激しい株でした。

利益だけを考えれば、2024年に1,100円台で売るのが最高でした。

それができなかったのは失敗です。

しかし、その失敗があったから2026年の760円では欲を出さずに売れたとも思います。

そう考えると、10年近く持っていたことにも意味はありました。


まとめ|利益以上に「売る技術」を学んだ株だった

2016年の自分は、

「600円になったら売る」

と書いていました。

その後、本当に600円を超えました。

それどころか2024年には1,114.5円まで上昇しました。

それでも売れませんでした。

そして371.1円まで下落。

最終的に2026年、760円付近で全株売却しました。

この10年間で一番学んだことは、

株は高値を当てるゲームではない

ということです。

十分な利益が出たと思ったら売る。

売った後さらに上がっても気にしない。

利益を確定して初めて、その投資は終わります。

昔の自分の記事を読み返すと、考え方の変化がよく分かります。

東京電力株は、私にとって儲けさせてくれた株という以上に、

投資家として「欲」と「出口」を学ばせてくれた株

だったのかもしれません。

10年近くの付き合いでしたが、これで東京電力株から卒業します。

お疲れさまでした。

※株価は過去の市場データを参照しています。本記事は筆者個人の売買記録・投資経験をまとめたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。

双葉電子工業(6986)は復活するのか?超健全財務と技術力、そして「次の一手」を考える

 


今回は双葉電子工業(6986)について考えてみます。

双葉電子工業という会社は、投資対象として見るとなかなか評価が難しい会社です。

財務は非常に強い。

長年培ってきた技術もある。

産業用ラジコン、ドローン、サーボ、金型関連、有機EL、電子部品など、面白そうな事業もいくつも持っています。会社概要でも、電子機器、生産器材、ロボティクス、有機EL、産業用ラジコンなど幅広い製品群を展開しています。

それなのに業績を見ると、なかなか利益が出ません。

個人的には、

「悪い会社ではない。むしろ持っているものはかなり良い。でも、その資産と技術をどう利益に変えるのかがまだ見えにくい会社」

という印象を持っています。


双葉電子工業とは?

双葉電子工業は1948年設立の老舗電子機器メーカーです。

現在の主な事業は大きく、

  • 電子機器

  • 生産器材

の2分野に分かれています。

製品を見ると非常に幅広く、

  • 産業用ラジコン

  • ホビー用ラジコン

  • 産業用ドローン

  • 産業用サーボ

  • 複合モジュール

  • 有機ELディスプレイ

  • 金型用器材

  • プレート製品

  • 成形・生産合理化機器

  • 工作機械IoTシステム

などがあります。

こうして並べると、

「意外と今の時代に使えそうな技術をたくさん持っている会社だな」

と思います。

ロボット、自動化、ドローン、FA、生産設備など、今後需要が増えそうな分野と接点があります。


ところが業績は長く苦戦している

問題は利益です。

2026年3月期は売上高429億8,200万円に対して、営業損失22億8,000万円。

売上高は前期比10.7%減少しました。最終損益は固定資産売却益などによって25億2,200万円の黒字でしたが、本業である営業段階では赤字です。

つまり、

「資産はある。でも本業で稼げていない」

という状態が続いています。

株式投資では、ここが一番気になるところでしょう。


2027年3月期1Qは少し雰囲気が変わった

一方、2026年8月7日に発表された2027年3月期第1四半期決算には、改善も見られました。

売上高は前年同期比4.1%増の108億4,100万円。

営業損失は前年同期の6億400万円から、3億3,500万円へ縮小しました。

経常損益については、前年同期の9億5,000万円の赤字から、1億6,800万円の黒字へ転換しています。

営業赤字なので、まだ「復活した」と言える段階ではありません。

それでも、

赤字幅がかなり縮小している

ことは見ておきたいポイントです。

特に電子機器部門は、産業用・ホビー用ラジコン機器やEMSが伸び、売上高が前年同期比19.5%増の42億3,400万円となりました。

電子機器部門の損失も前年同期より縮小しています。

少なくとも、本業がさらに悪化し続けているという決算ではありません。


最終赤字14億円は少し特殊

第1四半期では親会社株主に帰属する純損失が14億4,700万円となりました。

数字だけ見るとかなり悪く見えます。

しかし主因は、ライセンスおよび役務提供契約に関する約14億9,100万円の特別損失です。

そのため、

本業の営業損失は改善している一方で、一時的な特別損失によって最終赤字が大きくなった

という、少し複雑な決算になっています。

ここは最終利益の数字だけでは判断しにくいところです。


双葉電子最大の魅力は「異常に強い財務」

双葉電子を見ていて最も驚くのは財務です。

2027年3月期第1四半期末の総資産は約1,107億円、純資産は約946億円。

自己資本比率は85%前後という非常に高い水準です。

さらに現金・預金や投資有価証券もかなり保有しています。

普通なら営業赤字が続く会社は、

「資金繰りは大丈夫なのか?」

という心配が出てきます。

双葉電子の場合、その心配は相対的に小さい。

ここがこの会社の面白いところです。

弱い会社なのではなく、「強い財務を持っているのに利益を生み出せていない会社」

なのです。


Brandesが保有比率を9.98%まで引き上げた

もう一つ面白い材料があります。

米国の投資運用会社Brandes Investment Partnersは、双葉電子株を継続的に買い増しています。

2026年7月21日に提出された変更報告書によると、保有割合は従来の8.80%から**9.98%**へ上昇しました。保有株数は423万5,000株です。

Brandesの報告上の保有目的は、顧客に代わって行う「投資目的」です。

5%台だった2022年から段階的に保有比率を引き上げ、現在は約10%まで来ています。

これはかなり大きな比率です。

もちろん、

「海外投資家が買っているから株価が必ず上がる」

わけではありません。

それでも、世界の銘柄を選べる運用会社が、長期間かけて双葉電子の保有割合を増やしているのは興味深い材料だと思います。


なぜBrandesは双葉電子を買うのか?

ここからは私自身の推測になります。

一番分かりやすい理由は、

資産価値に対して企業価値が低いと見ている

のではないでしょうか。

双葉電子は、

  • 巨額の純資産

  • 現預金

  • 投資有価証券

  • 不動産

  • 長年蓄積された製造技術

  • ラジコン・無線制御技術

  • 金型・FA技術

などを持っています。

それなのに本業が赤字なので、市場から高い評価を受けていません。

逆に言えば、

本業が少し黒字化するだけでも評価が大きく変わる可能性がある

とも考えられます。


政策保有株も縮減へ

会社側も何もしていないわけではありません。

2026年6月には政策保有株式の縮減方針を公表し、保有株式の売却に伴う特別利益を計上する見込みを発表しました。

またグループ経営基盤強化のため、基幹システム刷新も進めています。

不採算事業や資産を抱えたまま何もしない会社から、

資産効率や経営効率を改善しようとする会社

には少しずつ変わっているように見えます。


私が双葉電子に物足りなさを感じるところ

ここまで書くとかなり魅力的な会社に見えます。

しかし私は、双葉電子をまだ全面的には評価していません。

理由は単純です。

「これから何で大きく稼ぐ会社になるのか」がまだ分かりにくいからです。

構造改革、不採算事業整理、固定費削減、政策保有株縮減。

こういった施策は重要です。

しかしそれは基本的に「守り」です。

投資家として知りたいのは、その次です。


ドローン事業はもっと伸ばせないのか?

双葉電子は産業用ドローンや無線通信技術をすでに持っています。

今後、物流、農業、測量、インフラ点検、災害対応、防衛などでドローン需要が拡大する可能性があります。

しかも双葉電子は、単にドローン機体を作るだけの会社ではありません。

長年培った、

無線制御+サーボ+産業機器

という技術があります。

これはかなり面白い組み合わせだと思います。

個人的には、この分野をもっと大きな事業として育ててもよいのではないかと感じています。


生産設備関連にも可能性はある

双葉電子は金型用器材、成形関連機器、工作機械IoTなど、生産現場向けの技術も保有しています。

日本では人手不足が進み、製造業では省人化・自動化投資が続いています。

双葉電子自身もFA市場の成長やスマートファクトリー化を意識し、設備部品の見積・発注をオンライン化する「FO Plus」などを進めています。

このあたりを、

単なる部品供給から、生産現場全体の合理化ソリューションへ

持っていけるかは注目したいところです。


ペロブスカイト関連へ展開する余地は?

これは会社が具体的に発表している話ではなく、完全に個人的なアイデアです。

双葉電子が持つ生産設備・金型・電子部品などの技術を見ると、今後拡大する新産業向けの製造設備や検査装置へ展開する余地もあるのではないかと思っています。

例えば現在、日本で量産化が始まりつつあるペロブスカイト太陽電池。

太陽電池そのものを作る必要はありません。

製造装置、加工、検査、搬送など、周辺設備にも市場が生まれます。

双葉電子のような会社には、

既存技術を新しい巨大産業へ横展開する

という攻め方を期待したくなります。


株価は底値圏から少しずつ戻している

双葉電子株は2026年5月に828円まで上昇した後、6月には527円まで下落しました。

その後は500円台後半まで戻しており、8月18日前場は563円となっています。

まだ派手な上昇トレンドとは言えません。

しかしBrandesの買い増しや本業の赤字縮小もあり、安値圏から少しずつ評価を戻しているようにも見えます。


双葉電子は「復活待ち銘柄」

私が現在の双葉電子を一言で表すなら、

「復活待ち銘柄」

です。

今すぐ高成長企業として買う会社ではないと思っています。

営業赤字はまだ続いています。

一方で、

  • 自己資本比率85%前後

  • 巨額の純資産

  • 現預金・有価証券

  • 無線制御技術

  • ドローン

  • サーボ

  • FA・生産設備技術

  • 政策保有株縮減

  • Brandesによる9.98%保有

  • 第1四半期の営業赤字縮小

という材料があります。

会社そのものが弱いというより、

「持っているものを利益に変える能力」が問われている会社

だと思います。


まとめ

双葉電子工業は、かなり不思議な会社です。

財務は強い。

技術もある。

資産もある。

世界的な投資運用会社も株式を約10%保有している。

それでも本業は赤字です。

だから現在の株価が安いとも言えます。

今後見るべきなのは、

「赤字を減らせるか」ではなく、その先に「何で稼ぐ会社になるのか」を示せるか

だと思っています。

第1四半期では営業赤字が前年同期の約6億円から約3.4億円へ縮小しました。

ここから営業黒字化まで持っていけるのか。

さらにドローン、ロボティクス、FAなどの技術を新しい成長事業へ変えられるのか。

双葉電子は、

完成された優良株を買う投資ではなく、「眠っている資産と技術が目を覚ますか」を見る投資

という位置づけが面白い銘柄ではないでしょうか。

個人的には、今後も決算とBrandesの動きを追いかけてみたい会社です。

※本記事は企業分析および筆者個人の投資検討をまとめたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は最新の決算資料・IR等をご確認のうえ、ご自身の判断で行ってください。

タウンズ(197A)は買いか?コロナ特需後でも注目したい診断薬メーカー

 


感染症の流行というのは、非常に予測しにくいものです。

コロナやインフルエンザが突然流行すると、医療機関から診断キットの注文が一気に増えます。

メーカーや医薬品卸は急いで在庫を確保しますが、流行が突然終わることもあります。

すると今度は大量の在庫が余ります。

しかも体外診断用医薬品には有効期限があります。

この「需要が突然爆発し、突然消える」という特徴は、感染症診断薬ビジネスの大きな難しさだと思います。

そんな中で個人的に面白いと思っているのが、感染症迅速診断キット大手の**タウンズ(197A)**です。

タウンズは1987年創業の体外診断用医薬品メーカーで、インフルエンザ、新型コロナ、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ノロウイルスなど幅広い感染症向け迅速診断キットを開発・製造・販売しています。会社自身も感染症迅速診断キットの最大手企業の一社と説明しています。

コロナ特需終了後は業績面で苦戦していますが、会社の動きを見ていると「何もしていない会社」には見えません。

むしろ、診断薬ビジネスの弱点をかなり理解して商品改良を進めているように感じます。


感染症診断薬は「在庫」が難しい

診断薬という商品は少し特殊です。

インフルエンザなどが流行すれば、一つの地域だけでも急激に注文が増えることがあります。

ところが感染が落ち着けば、需要も急速に減ります。

メーカー側からすると、

在庫を少なくする
→ 流行時に品切れする

大量に生産する
→ 流行終了後に在庫が余る

という難しい判断を迫られます。

卸や医療機関も同じです。

前シーズンに大量在庫を抱えて痛い目を見ると、翌年から在庫を極力持たなくなります。

すると今度は、突然患者が増えた時に、

「診断キットがない」

という状態になります。

さらに需要が急増するとメーカー側が出荷制限を行う場合もあり、過去の販売実績などによって配分されることもあります。

必要な患者がいるのに商品がない。

これは医療現場の問題であると同時に、メーカーや卸にとっては販売機会の損失でもあります。


タウンズの新製品は「有効期限22か月」

ここで注目したいのが、2026年8月にタウンズが発表した新型コロナ・インフルエンザ同時抗原検査キット、

「イムノエース SARS-CoV-2/Flu Ⅱ」

です。

同製品は2026年7月31日に国内製造販売承認を取得しました。

従来製品から大きく改善された点が二つあります。

まず判定時間。

従来は15分でしたが、新製品では10分へ短縮されました。

そしてもっと面白いのが有効期間です。

従来は製造後12か月だったものが、新製品では22か月へ大幅に延長されています。

これはかなり大きな改良だと思います。


有効期限延長は「廃棄ロス削減」だけではない

有効期限が長くなると、まず思いつくのは廃棄削減です。

もちろんそれも重要です。

しかし投資家目線では、それ以上の意味があると考えています。

例えばインフルエンザシーズンに大量の検査キットを仕入れたとします。

シーズンが早く終わって在庫が余っても、12か月しか期限がなければ次の流行期には使いにくくなる可能性があります。

ところが22か月あれば、

「今シーズンで余っても次のシーズンまで持っておけばよい」

と考えやすくなります。

すると卸や医療機関も、在庫を以前より積極的に持てるようになります。

これは非常に重要です。

在庫を持てるということは、

突然注文が入った時にすぐ売れる

ということだからです。

つまり有効期限延長は単なるコスト削減ではなく、

販売機会そのものを増やす可能性がある

ということです。


メーカー・卸・医療機関すべてにメリット

有効期限22か月、判定時間10分という改良をそれぞれの立場から考えてみます。

メーカー

流行終了後の在庫廃棄リスクを抑えやすくなる。

極端な増産と減産を繰り返す必要も減らせる可能性があります。

医薬品卸

「余ったらどうしよう」という不安が減るため、営業所などに在庫を置きやすくなります。

その結果、突然の注文に対応しやすくなります。

医療機関

必要な時に製品を確保しやすくなるうえ、判定時間短縮によって診療効率も改善します。

15分が10分になるだけと思うかもしれません。

しかし一日に何十人も検査する医療機関では、5分の差が積み重なります。

患者側にとっても結果を待つ時間が短くなります。

つまり今回の製品改良は、

メーカー
+卸
+医療機関
+患者

すべてにメリットがある改良です。

こういう商品改良を見ると、少なくともタウンズは現場で何が問題になるのかをかなり考えている会社だと感じます。


診断薬ビジネスそのものも面白い

個人的には、医薬品の中でも診断薬は面白いビジネスだと思っています。

治療薬は基本的に病気になった人が使います。

診断薬は、

「もしかしたら病気かもしれない」

という段階で使われます。

検査結果が陰性でも、検査キット一回分の需要は発生します。

しかも感染症の場合、

  • 本人

  • 家族

  • 学校

  • 職場

  • 高齢者施設

  • 医療機関

など非常に広い範囲で検査需要が発生します。

流行が大きくなれば、一人が複数回検査を受けるケースもあります。

もちろん感染症が流行しなければ売上は減ります。

逆に言えば、新しい感染症が出てくれば新しい市場が生まれる可能性もあります。

タウンズは現在の感染症領域だけでなく、慢性疾患や新しいPOCT、SaMD、受託検査などへ事業領域を広げる方針を示しています。


コロナ特需終了後の業績悪化は無視できない

もちろん良いところだけを見るのは危険です。

タウンズはコロナ禍で大きな需要を取り込みました。

その反動で、現在は新型コロナ関連製品の販売減少や流通在庫調整の影響を受けています。

感染症診断薬はどうしても流行状況によって業績が振れます。

つまり、

「感染症診断薬だから安定成長する」

という会社ではありません。

ここは投資するなら理解しておく必要があります。

一方で今回の有効期限延長は、まさにこの「需要変動による在庫問題」を小さくするための一つの回答にも見えます。

会社が自分の事業の弱点を理解して、それに対する商品を作っている。

私はこういう企業を比較的信用しやすいです。


新しい中期経営計画もかなり積極的

タウンズは2026年7月に中期経営計画を更新しています。

会社は抗原検査のラインナップ強化に加えて、

  • 新規POCT

  • SaMD

  • 受託検査

などを新しい収益源として育てる方針です。

計画上では2026年6月期から2031年6月期に向けて売上成長を目指しています。

つまり会社自身も、

「コロナ診断薬一本で将来も稼ぐ」

とは考えていません。

既存の感染症迅速診断キットを土台にしながら、新しい検査領域へ広げていこうとしています。

ここも評価したいところです。


配当も29円を起点とする累進配当へ

タウンズは株主還元にも比較的積極的です。

2027年6月期から2031年6月期までの中期経営計画期間では、

1株29円を起点とする累進配当

を導入しています。

累進配当とは、基本的に配当を減らさず、維持または増配していく方針です。

さらに会社は市場環境などを見ながら自社株買いも検討するとしています。

成長株でありながら配当もある。

これはNISAで長期保有する候補としては悪くありません。


タウンズのリスク

もちろんリスクもあります。

感染症流行に業績が左右される

コロナ特需の反動がその典型です。

新製品が売れるとは限らない

22か月の有効期限や判定時間短縮は優れていますが、競合製品との価格差や営業力も重要です。

新規事業が計画通り育つ保証はない

POCT、SaMD、受託検査などへの展開は魅力的ですが、投資先行になる可能性もあります。

大株主の売却

上場前から投資しているファンド系大株主が大きな持分を持っているため、将来的な株式売却が株価の上値を抑える可能性もあります。

ここは長期投資するなら意識しておきたい部分です。


それでもタウンズは「悪くない会社」だと思う

タウンズは現在、コロナ特需が終わって一見すると勢いを失った企業に見えます。

しかし会社の動きを見ると、

有効期限を12か月から22か月へ延長
判定時間を15分から10分へ短縮
感染症以外の診断領域へ拡大
新規POCT・SaMD・受託検査を育成
累進配当を導入

と、やるべきことはかなりやっています。

特に私は有効期限22か月という改良を高く評価しています。

これは単なる製品スペックではありません。

感染症診断薬ビジネスで長年問題になってきた、

「突然売れる。しかし突然売れなくなる」

という在庫リスクに直接効くからです。

卸が安心して在庫を持てれば、その分だけ突然の注文に対応できます。

結果としてメーカーにとっても販売機会が増えます。

こういう地味だけれど商売の本質に効く改良をする会社は、長期的に見ても面白いと思います。


まとめ

タウンズを一言で表すなら、

「コロナ特需で終わった会社ではなく、特需後の診断薬ビジネスを作り直している会社」

だと思います。

現在の業績だけを見ると魅力が分かりにくい銘柄です。

しかし、

  • 感染症迅速診断キット大手

  • 商品改良能力

  • 長期保存化

  • 判定時間短縮

  • 新規診断領域への進出

  • 累進配当

まで見ると、私は投資候補として十分検討する価値がある会社だと思っています。

少なくとも、

「株価が下がっているからダメな会社」

とは見ていません。

むしろ業績が悪い時期に会社が何をしているのかを見ると、その企業の実力が分かることがあります。

タウンズについては、今後の新製品販売と中期経営計画の進捗を追っていきたい銘柄です。

※本記事は筆者個人の投資検討・企業分析をまとめたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は最新の決算資料・IR情報等をご確認のうえ、ご自身の判断で行ってください。