2026年8月18日、保有している武田薬品工業の株価を見て少し驚いた。
終値は5,702円。前日比+189円、率にして+3.43%の上昇である。
「何か武田にすごいニュースでも出たのか?」
そう思って調べてみたのだが、今日の急騰をそのまま説明できそうな大きな個別材料は、少なくとも私が調べた範囲では見当たらなかった。
そこで日経平均を見て、なんとなく納得した。
今日はむしろ日本株全体が弱いのである。
原油価格の上昇やインフレ、金利への警戒などから、日本株には売りが出ていた。
そこで思い出した。
武田薬品って、こういうことがある。
日経平均が元気な日は大して動かないのに、日経平均が大きく下がっている日に妙に強かったりする。
医薬品は景気が悪くなったからといって、みんなが薬を飲まなくなる業種ではない。
いわゆる「ディフェンシブ銘柄」である。
そしてこの値動きを見ていたら、以前から考えている「朱子学的NISA」と妙につながって見えた。
白の中には黒があり、黒の中には白がある
中国思想を象徴するものの一つに、太極図がある。
白と黒が渦を巻いた、あの有名な陰陽のマークだ。
白一色でもなければ、黒一色でもない。
陽の中には陰があり、陰の中には陽がある。
私は若い頃、漢文の先生から中国思想について教わった時、この考え方に非常に感銘を受けた。
世の中は水戸黄門のように、
「こちらが善人、こちらが悪人」
と綺麗に二つに分かれているわけではない。
どんな善人にも悪い部分がある。
悪人と呼ばれる人間にも、善い部分がある。
物事はそんな単純ではない。
これは今でも私の人生観の根底にある。
そして株式市場も、案外同じなのではないか。
日経平均の「陰」が武田薬品の「陽」を生む
株を始めたばかりだと、
「日経平均が上がる=良いこと」
「日経平均が下がる=悪いこと」
と考えやすい。
けれど、自分でいろいろな銘柄を持っていると、そんなに単純ではないことに気づく。
市場全体が上がっている時には、半導体や景気敏感株などに資金が向かい、ディフェンシブ株は置いていかれることがある。
反対に、市場が不安定になると、それまで地味だった医薬品などへ資金が向かうことがある。
今日の武田薬品の値動きも、その一例として見ると面白い。
市場全体にとっての陰が、ある銘柄にとっては陽になる。
陰だから悪いのではない。
陽だから良いのでもない。
むしろ陰と陽が存在するから、全体として均衡が取れる。
私は「攻撃は最大の防御」とは思わない
若い頃の私は、ゲームでも何でも攻撃力全振りみたいなものが好きだった。
「攻撃は最大の防御」
という考え方である。
今はむしろ逆だ。
鉄壁の守りこそ最強なのではないか。
どれだけ攻撃力が高くても、一撃食らって死んでしまったら終わりである。
相場でも同じだと思う。
一番上がる株を当て続ける必要はない。
好景気にも不景気にも耐えられる。
暴落が来ても生き残れる。
配当が入り続ける。
ある銘柄が下がった時には、違う性質を持った銘柄が支えてくれる。
そういうポートフォリオの方が私は好きだ。
だから私は亀が好きなのかもしれない
私は昔から亀が好きである。
亀は速くない。
獲物に飛びかかる牙もない。
派手な攻撃力もない。
でも、甲羅がある。
ものすごく地味だが、ひたすら生き残る。
これこそ私が今、投資に求めているものなのかもしれない。
明日の株価を当てる能力より、
何が起きても市場から退場しない能力。
大儲けするための攻撃力より、
暴落しても生活が壊れない防御力。
日経平均が絶好調の時には地味でもいい。
みんなが逃げ始めた時に、甲羅の中で平然としていられればいい。
今日、日経平均とは反対方向に大きく上がった武田薬品を見ながら、そんなことを考えた。
朱子学的NISAとは「最強銘柄探し」ではない
結局、私が考える朱子学的NISAは、
「この銘柄こそ絶対に正しい」
という投資ではないのだと思う。
景気敏感株にも役割がある。
ディフェンシブ株にも役割がある。
値上がり益にも意味がある。
配当にも意味がある。
好景気にも不景気にも、それぞれ違った顔がある。
一方だけを善として、もう一方を悪として切り捨てない。
異なる性質のものを抱えながら、全体として倒れない形を作る。
それが私には一番しっくりくる。
相場に勝とうとするのではない。
相場がどうなっても生き残る。
今日の武田薬品の逆行高は、そんな「亀の投資」を改めて考えさせてくれる値動きだった。
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